ペルシャ湾の戦火 2018 6 3

2018年6月3日、時事通信社には、このようなニュースがありました。

サウジ、カタール攻撃を警告=ロシアの最新ミサイル獲得なら

(パリAFP時事)サウジアラビアのサルマン国王が、
フランスのマクロン大統領に書簡を送り、
カタールがロシアから最新鋭地対空ミサイルシステムS400を獲得した場合、
カタール攻撃も辞さないと警告した。
フランスのルモンドが6月1日、報じた。
事態の悪化を阻止するため、マクロン氏に仲介を要請している。
 国王は書簡で、カタールとロシアの関係に「深い懸念」を表明。
「この防衛システム排除のためなら、
軍事行動を含め必要なあらゆる措置を取る用意がある」と強調した。
(引用、以上)
 カタールは、イラン(ロシア)につくのか。
それとも、サウジアラビア(アメリカ)につくのか。
 そう言えば、高島康司氏の著作を読んでいたら、
興味深いことが書いてありました。
 アメリカは、「シリア戦争」で実質的に負けたことで、
中東の「パイプライン競争」にも負けて、
中東における「覇権」を失ったという。
 つまり、天然ガスをパイプラインで、
イランからイラクを経由してシリアに運び、
欧州に輸出するか(ロシア案)。
 あるいは、カタールから、
天然ガスをパイプラインでシリアに運び、
欧州に輸出するか(アメリカ案)。
 しかし、アメリカは、「シリア戦争」で実質的に敗北したので、
アメリカ案ではなく、ロシア案が実現することになるという。
 そもそも、シリアのアサド政権は、ロシアの同盟国なので、
アメリカ案が採用される可能性は低かったのですが、
2011年から始まった「シリア内戦」でアサド政権が倒れれば、
シリアに親米政権ができて、アメリカ案が採用される可能性があったという。
(引用、以上)
 さて、欧州は、ロシアの天然ガスに依存していますが、
ここでも、ロシアに間接的に依存することになります。
 中東危機は、サウジアラビアとイランの勢力争いが原因でしょうが、
最近の10年間で、アメリカの勢力が衰えて、
ロシアの影響力が伸張していることが、混迷を深めています。
ロシアが中東戦争の「触媒」になるかもしれません。
 いずれせよ、日本にとっては、
ペルシャ湾が戦火で赤く染まることがリスクになります。
 風雲急を告げる「北朝鮮情勢」と「ペルシャ湾」を考えれば、
日本は、「モリ・カケ」問題で「暇つぶし」をしている場合ではありません。

ペルシャ湾 2012 11 4
 将来、アメリカから、
「ペルシャ湾は、日本が自力で守れ」と言われる日が来るかもしれません。
 現在、ペルシャ湾は、バーレーンに司令部を置く、
アメリカ第5艦隊(空母を含む)が守っていますが、
この体制が、いつまで維持できるか。
 アメリカは、いつの間にか、原油輸入の多様化を進め、
中東への依存度は、かなり下がっています。
 やがて、アメリカは、中東なしでも、
原油も天然ガスも輸入先に困らないということになるでしょう。
 さらに、今、アメリカは、
シェールガスやシェールオイルで盛り上がっています。
つまり、アメリカの中東への関心は下がっていくでしょう。
 そうなると、問題は、アメリカの納税者の動向です。
「巨額の税金を使って、アメリカ第5艦隊を駐留させているが、
これは、税金の無駄遣いではないか」という声が出てくるかもしれません。
 いったい、どこの国が、
ペルシャ湾の原油や天然ガスを最も利用しているのか。
つまり、最も恩恵を受けている国が、ペルシャ湾を守るべきではないかとなるでしょう。
その国とは、日本です。
 相変わらず、日本の政治家は、天下泰平の日々を過ごしているでしょうが、
本当に、のんびりしていていいのか。
 親米派の政治家は、「日米軍事同盟があるから大丈夫だ」と言うでしょうが、
はたして、それでアメリカの納税者を納得させることができるのか。
 世界は、刻々と変わりつつあるのです。
にもかかわらず、日本の政治家の頭は、終戦直後のままです。








































































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